【レポート】三越伊勢丹の目指す「オンラインでもオフラインでも最高の顧客体験を提供」のために IT がやるべきこと #AWSSummit
はじめに
こんにちは、おおはしりきたけです。 みなさん AWS Summit Online 楽しんでいますでしょうか。
本記事は 「三越伊勢丹の目指す「オンラインでもオフラインでも最高の顧客体験を提供」のために IT がやるべきことと」なっています。
セッション概要
スピーカー
- 株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ テクノロジー推進部 部長 唐沢 猛 氏
概要
三越伊勢丹は「オンラインでもオフラインでも最高の顧客体験を提供」することを推進している。それを支える基盤には高い俊敏性が求められるが今はオンプレに多くの基盤が置かれている。俊敏性を確保するために、現在、レガシーシステムのマイグレーションに着手している。まずはリスクを考慮し AWS へのリフトを行い、着実に AWS 基盤上で稼働させることを実行している。一方、並行してクラウドネイティブ化も目指したシフトも進行中。OSS を積極活用する方針としデータベースの Amazon Aurora 化なども検討している。
セッション視聴のリンクは こちら。
セッションレポート
アジェンダ
- 1.三越伊勢丹グループが"目指すこと"
- 2.三越伊勢丹グループにおける"ITの課題"
- 3.三越伊勢丹グループの"ITがやるべきこと"
1.三越伊勢丹グループが"目指すこと"
三越伊勢丹グループわたしたちの考え方
- 人と時代をつなぐ三越伊勢丹グループ
- IT・店舗・人の力を活用した「新時代の百貨店(プラットフォーマー)」
- 1つ目:オンラインでもオフラインでも「最高の顧客体験」を提供する
- 2つ目:グループの強みにデジタルを加えた「新しい顧客体験」を提供する
- 3つ目:不動産事業による「顧客接点の拡大」
- 具体的な取り組み 新規DX事業
- 三越伊勢丹のショッピングサイト
- MOO:D MARK(ギフトに特化)
- meeco(化粧品に特化したサイト)
- 三越伊勢丹アプリ
- ISETAN DOOR(食品宅配)
- Hi TAILOR(シャツをオーダーできるサイト)
具体的な取り組み 新サービス「YourFit365」
お客様の足と靴の木型と呼ばれてるものどちらも3Dスキャンをして、お客様の足に合うものというのをご提供するサービス
- YoueFIt365を活用した接客の質の向上
- 1.お客様に来店をしていただいて専用の計測器で足を3Dスキャン
- 2.お客様の足型をスマートフォンのアプリの中で紐づけをする
- 3.内部では足型と木型という情報揃うので、そこに合わせてレコメンド
- お客様の足により合う靴をご提案
- 4.お客様の方で購入決済をしていいただく
- 5.お客様ご自身が ご家庭や電車の中でシーンで自分に合った新しい靴を探す
- オンライン上でできるようにしている
- 6.再購入/再来店をしていただくような形の流れとなっている
- ご好評をいただいており、お客様の足型もかなりの数溜まってるような形で、お客様にもたくさんを利用して頂いてる
サービスのシームレス化
- 三越伊勢丹の目指すサービスのシームレス化とは?
- 三越伊勢丹グループには新宿店、日本橋店、銀座店など大きな店舗が、旗艦店としてある
- 上記三つ以外にも、支店であったり地方のお店もあり、そこの情報をまず一元的に管理をしたい
- オンラインでもオフラインでも同じ情報をお客様にご提供したい
- 百貨店なので、品揃えもオンラインでもオフラインでも垣根作りたくない
- 在庫もオンラインでもオフラインでも同じ在庫が見れるようにする
シームレスな購買体験への変革
- As-Is
- 店舗商品は店頭、EC商品はECでしかそれぞれ購入することができない
- 商品の受取方法が自由に選択できない
- To-Be
- 店舗/ECの垣根なく商品を購入できる
- 商品の受取方法が選択できる
- 他店の商品在庫も購入/受取できる
データセントリックな価値創出プロセス
- データセントリックとような考え方で色々なことを取り組んでいる
- 店舗でもECでも色々なことができると、ITの世界でとデータが蓄積できる
- データが貯まると、お客様が何を求めてるかというところが分かる
- ファクトに基づいてビジネスを展開できるようにしたい
2.三越伊勢丹グループにおける"ITの課題"
「シームレスな購買体験」の実現にとっての課題
大きな課題は、ITが昔から提供しているのでレガシーな仕組みで動いているものが沢山あり、色々と新しい事をしようと思うと、やはり色々なことがネックになって上手く進まない。将来のインフラの不透明性というのをどうするかというのは、大きな課題である
- 抱えているシステム課題
- 密結合なレガシーシステム
- 顕在化した性能問題
- 差し迫るEOSL
- 将来的なインフラ・センターの不透明性
- 解決の方向性
- クラウド環境への移行(リフト)をAWSJさんと一緒に進めている
3.三越伊勢丹グループの"ITがやるべきこと"
クラウド利用におけるコンセプト
- 大きく4つにまとめている、数年前3つだったが、4つ目のような形でクラウドを利用するので、後々でスピードが早くできると思っている
- クラウドにあるサービスも沢山利用することも可能だと思っている
- 性能問題もスケーラビリティというところで、クラウド活用することで解決できる
- セルフサービスは、少しでも開発者やシステムを扱う部門が、自分で改善できるという形の提供をしたい
戦略的なシステム刷新の推進
- 頻繁に変更される機能:A.機能分割・刷新(クラウドで再構築)
- 新たに必要な機能:B.機能追加(クラウドで機能追加)
- 不要な機能:C.機能縮小・廃棄
- 変更が発生しない:D.現状維持(塩漬け)
クラウド化の考え方/進め方
- リフト:まずクラウド環境で動作させる
- AWSへの移行
- 稼働のための最低限必要な対応
- 大幅なアプリケーション改修は実施しない
- シフト時の比較環境とする
- シフト:クラウド環境での最適化
- クラウドネイティブなしくみの活用
- アプリケーション/インフラのリファクタリング
- DB最適化(Auroraへの移行を想定)
- クラウド化の期待効果
- マルチAZによるDR対応
- 性能の最適化:CPU、メモリ、ストレージ
- 従来(オンプレ環境):ピーク時の性能を見越してハードウェアを準備
- 今後(クラウド環境):百貨店のイベント、売出しに合わせ事前にスケールアップ(不要になったらダウン)
システムアーキテクチャ指針
- 社内でストラングラーという考え方を入れてレガシーの仕組みを少しずつ減らしていく
- 中間に1つ層を挟むストラングラーファサード(中間層)を挟む形で色々なアプリケーションと連携する
- 大きくアーキテクチャの構造を内装(SoE)と構造(SoR)に分ける
- 内装(SoE)が、お客様に向けるサービスであったり従業員に向けるサービス
- DX のところは、この図で言うところの内装(SoE)の部分で、新しいことをやろうとすると、非常に時間がかかっていた
- 内装(SoE)と構造(SoR)の間にストラングルファサードの層を挟みながら、レガシーの仕組みとやり取りをさせることで、より内装(SoE)を早く提供できる
- お客様に向けても、従業員の皆さんに向けても新しい仕組み新しいサービスをより早く提供したい
所感
DXという言葉をよく聞くようになりましたが、単なるクラウド化ではなく、既存の資産をいかにクラウドに移行しながら、新しいことを進めていくのかというのがDXの肝になると思っています。いきなりクラウドネイティブには一足飛びには行けないシステムも多く、こういう場面でLift & Shiftという方法は非常に有効だと思いました。